37.8度。

この数字は朝鮮半島の軍事境界線でもあり、山形県米沢市の北緯でもありますが、

ここでは緯度線ではなく、羊水の平均温度のことです。

 

魚座は生まれる前の母体の中にいる状態を表します。

そして、水のサインである魚座は、象徴的に海を表すと言われますが、

母体の中だとすると、この海は羊水と考えることができます。

37.8度という温度の羊水の海の中でこの世に生まれる準備をしているのが魚座です。                                                                       

 

その魚座には、1度から30度まで、受胎から誕生までの物語がありますが、

その中でも、特に終盤の魚座(26度以降)のサビアンシンボルは、

月がシンボルになるものが多いという特徴があります。

 

26度 影響を分割する新月

27度 収穫の月

28度 満月の下の肥沃な庭

 

占星術における月は、その人の「魂そのもの」を表し、

月のサインは「魂のパターン」を表わしています。

魚座の終盤では、その月が自我や執着から離れていき、

大いなる環境に投げ出すような意味が多くみられます。

同時に、既存の共同体から離れ、本来の約束の地に向け

歩みはじめるようなニュアンスもあります。

 

このことを別の角度から見ると、

あらゆる柵(しがらみ)から解放され、魂を純化する工程といえるでしょう。

魂の純化は同時にこの世的には孤独を伴うものです。

多くの人が、「自己表現と環境への適合との狭間」で葛藤を持っていますが

魚座の終盤は、環境への適合を手放し、自己の純化を求めます。

 

環境に対する柵が強いほど、自分自身の本来の道を歩むことは難しいものです。

環境に対する柵とは、経済、対人関係、あるいは子供の時に矯正された固定観念がその代表でしょう。

そうした制限が、本来の生きる目的に向かうことを制限しています。

魚座の終盤は、社会的な柵を解放し本来の自分をとり戻す姿が発現してきます。

 

「体内記憶」の研究家である池川明氏によると

ほとんどの子供が目的を持ってこの世に生まれてきます。

その目的の大半が、今までは「お母さんのために」だそうですが

最近では「世の中をよくするために」にという子が増えているそうです。

母と子という子孫繁栄的なミッションから人類全体を願うように変わってきているのは、

とても興味深いことです。

 

―――

 

さて、魚座の終盤について触れたのは、

もちろん、牡羊座という状態を理解するためです。

 

なぜなら、魚座の終盤の工程は、牡羊座として誕生するための準備だからです。

この世に生まれる時期が近づくと、「柵からの解放」と「自己の純化」という準備を行います。

このことは、「媚びない」「自分を通す」「ありのまま」といった牡羊座の個性を、そのまま反映しています。

また、「孤独」という状態がデフォルトでもあるため、牡羊座は

本質的には、孤独感をネガティブに捉えることはありません。

 

人間はなかなか難しい感情を持っているため「一人になりたい」と「寂しい」という一見、

二律背反的な感情を持ちやすいものですが、牡羊座にはこうした複雑な感情模様は見られません。

どんなに孤独感を感じたとしても、人は大きな生命の潮流の中で活かされていることを

微かな記憶として、どこかで知っているからです。

 

また、この牡羊座の個性は、魚座の終盤で準備した「約束の地」に、

最短で向かうためには、とても有利は個性となります。

 

「誰かのために」「何かのために」という自分以外の存在が大きな原動力となる人もいますが、

これは、「水」や「地」のタイプの人の考え方でしょう。

やはり、本質的にもっとも大きく強い動力は、牡羊座のように、

生まれた時から目指す場所がわかっていて、

条件付けも少なく、そこだけを見て生きていける動力です。

 

そのため、太陽の牡羊座イングレスは、春分点として一年に一度必ずあるわけですが

この春分点は、再び約束の地に向けて、柵から解放してあげ

孤独を恐れず、自己を純化ししていくような時であるいえます。

現代では春は鬱っぽくなる人が多いと言われますが

この春分点のあり方と多いに関係があるように思われます。

 

―――

 

また魚座から牡羊座への転換点である

「誕生」というタイミングも、牡羊座を表しています。

 

誕生のタイミングは、占星術そのものを表すほど重要な要素です。

胎児から成長して臨月を迎え、全ての準備が整い

最終的に生まれてくる絶妙な時が、ネイタルチャートに表現されているのです。

 

子宮という宇宙から、社会という三次元世界へと降り立つ瞬間の時空環境を想像してみてください。

 

魚座の終盤で、本来の自分自身を取戻し、同時に自分自身の道に出会い

その道筋をこの世の世界の中に見出し、そのための環境が整う時を待つ。

そして、その時が来ると同時に、それまでの記憶を全て手放し、

初めて出会う酸素(地球環境の象徴)を思い切り呼吸する。

また、へその緒を切ることで、ワンネスの世界から切り離され、同時に、この世が始まる。

 

そう考えると、ネイタルチャートは、

全ての記憶を宇宙のかなたに葬った瞬間ともいえるし、はじめて酸素を吸った瞬間ともいます。

あるいは、ワンネスの世界から切り離された瞬間ともいえます。

 

つまり「誕生」は、景色も、生命構造も、原理原則も

全てが変わるタイミングであると考えた方がしっくりきます。

牡羊座は「始まり」や「スタート」を表すと言われていますが、

その言葉のニュアンスではやや弱く、もっとダイナミックな展開がそこにはあると

考えた方がいいでしょう。

 

その牡羊座に、2011年から天王星が滞在しています。

今年は天王星と太陽が牡羊座で会合するのが7回目ということになります。

 

天王星は科学や民主化という側面から、時代を劇的に進化させる知の結集のような惑星です。

人間には生物としての原初的な生命力ももちろんありますが、あらゆる環境や

人間の本能などをコントロールするための、知性を持ち合わせています。

 

1750年に天王星が発見されて以来、

人の知性は劇的に結晶化し、この世での暮らしのあり方を大きく変えてきました。

 

その天王星が、牡羊座にイングレスするのは84年に1回あり、

現在は84年に一度「時代がチェンジするタイミング」だと言われていますが、

その変わり方は、子宮からこの世に降りたつような、ダイナミックな変化であることがわかります。

 

現実的に表現すると、

へその緒を切る行為」は「人間関係のリンクが変わること」

「はじめて出会う酸素」は、「新しいステージに立つこと」

「過去の記憶を手放すこと」は、「古い柵を手放すこと」と考えられでしょう。

 

―――

 

時々、「こういう大変な時代は、どういう意識を持って過ごしたらいいのですか?」

という質問を受けることがあります。

 

天王星という惑星は「集合的な意識」に働きかける力があります。

この集合的な意識というのは、時代や世代固有の価値観として現れます。

 

どの時代でも「個人によって異なる価値観」というものもありますが

「時代によって異なる価値観」は、逆に個人差があまりなく

時代を共有する人たちのあいだでは、共通の意識となりやすいのです。

そのため、天王星意識は、意識的に自分のものにするは難しく、時代の流れや社会の潮流の中で、

自然と影響され、結果的に身に着くものだと考えた方がいいでしょう。

 

大事なことは、そうした天王星が牡羊座に滞在するということは

人類が目指す新しい場所へ向かうために、過去の記憶を葬り去り、

新しい酸素の地へと降り立ったばかりであるということです。

 

現在の不安定な時代環境とその相似形である不安定な内面は、

生まれたての赤ちゃんが、無垢で純粋で何もない状態であるように

価値観も生きる指針もなければ、自立して生活していく力もまだない状態だと

捉えると良いでしょう。

 

もちろん、この「不安定」という表現は、「三次元社会を生きるものとして」

という視点に基づいています。そうではなく、「人間の原始的な生命力」という視点では、

とても強いパワーに溢れたものがあるはずです。それは、生まれたての牡羊座のように、

自分のことだけにコミットすることで、初めて実感するでしょう。

 

東海 豊

 

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